このページでは、プラモデルキットが量産され販売されるまでの10の工程を徹底解説しています。当サイトでは他にも面白い記事を掲載していますので、今後とも「ひろログ!」をヨロシク!
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プラモデルができるまでの10の工程を徹底解説してみた!
バンダイのガンプラやタミヤのスケールモデルなどが注目されているが、他にも多数のメーカーから色んなジャンルのプラモデルが販売されている。
短期間に続々と新発売されるプラモデルキットだが、店頭に並ぶまでどれだけの工程や手間がかかっているのだろうか。またどうやって作られていくのか興味を持ったことはないだろうか?
そこで今回は、プラモデルキットが量産されるまでを徹底解説してみた。
1.企画:
どのプラモデルメーカーでもまず最初に行なうのが、どんなモノをキット化するのかを考え話し合われる「企画」部門だ。
何が人気があるのか。何をキット化すれば売れるのか。スケール(縮尺)やどんなシリーズ展開にするのか。など、綿密な打ち合わせにより決定していく重要な作業だ。
2.開発:
企画が決定したら、開発部門、設計部門、金型部門の3部門で、プラモデルが完成した時の可動部、ギミック、パーツ割り、色分けなどの仕様が決められる。
主に開発部門で仕様や設定、予算などが決められ、設計部門で開発部門が提案した可動部やギミックが可能か、強度的に問題がないかを詰めていく。金型部門では、開発部門と設計部門が提案しているギミックや稼働を盛り込んだパーツ分割が可能かどうかなどを技術的な視点から提案・議論されていくのだ。
3.データ収集:
ガンプラやキャラクターモデルは実在しているモノではないので、ある程度新解釈を盛り込んだギミックや可動部を設定することが可能だ。
しかしスケールモデルの場合、より本物に近い完成品にするためには実物からパーツ構成、構造などのデータを集めなければならない。これがまた大変な作業となる。
現在市販されているバイクや自動車などをキット化するにはデータ収集がしやすいが、軍用機や戦車、昔の車両、戦艦、帆船などをキット化するとなると、実物を観察してデータ収集するのも容易ではないのだ。
この場合、現在残っている実物の資料や設計図などを参考にキット化することもあり、長い年月をかけて設計、試作にたどり着くことも少なくない。
4.設計:
次に作画や収集したデータなどを基に、キットの完成形の状態までまとめていく作業となる。
近年、設計には3D-CAD(コンピューターを利用した三次元設計システム)が普及しているので、コンピュータ内での三次元空間でモデル化されていくのだ。
5.試作(修正):
4の設計でモデル化されたデータを、今度は実際に実物の試作を作成(モックアップ)する。実際の試作モデルを基に、全体のデザインやパーツ分割のチェック、可動やギミック、強度的な問題がないかをチェックし、修正していく作業となる。最近では3D-CADの進歩や3Dプリンターの導入により作業時間がかなり短縮されている。
6.金型の設計:
パーツの分割とパーツ数、形状などが決定すると、金型を製作するための設計に入る。
4の設計から上がってきたパーツの3D(立体)データを基に、2D(平面)データに変換し、パーツの3D(立体)データを参考に樹脂の流れを予測。パズルのような要領で、金型の枠にパーツを配置していくのだ。
7.金型の製作:
6で作成された設計データを基に、金型部品を製作していく作業。
プラモデルはプラスチック樹脂を射出(インジェクション)成型機という専用の機械で成型するのだが、金型はこの工程の「心臓部」にあたる。金型にはオス型(可動側:コア)とメス型(固定側:キャビ)に分かれており、パーツの凹凸部がそれぞれそれに該当する。
金型は、閉じた時の凹凸の隙間に樹脂を流し込むことでパーツが成型されるので、その形状を彫り込んでいく作業が金型製作となるのだ。
カーモデルのボディなど複雑な形状のパーツは、スライドコアという金型部品を可動させる事により一体成型も可能にしており、近年では高精度な放電加工機やワイヤーカット機、レーザー加工機の導入により、かなり精度の高いパーツを作り出すことが可能となっている。
プラモデルのランナー(枠)にAとかBとかアルファベットが表示されているが、そのランナーの数だけ金型が必要になる。
※小ランナーの場合、2~3種類が同じ金型で成型されることもある。
プラモデルキットが完成品になるまでの金型は複数必要なのだ。
金型が完成すると、射出成型機で試験成型を行ない、成型パーツに問題がないかをチェックしながら微調整を行なっていく。
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8.量産(成型):
金型には大小様々なサイズがあるので、そのサイズに見合った射出(インジェクション)成型機で量産する工程に入る。
プラモデルの原料のほとんどがPS(ポリスチレン)樹脂。ガンプラの関節など強度が必要な部分にはABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂が使用され、ポリキャップなど柔らかい素材にはPE(ポリエチレン)樹脂を使用することもあるが、接着や塗装が必要となるプラモデルでは、ほとんどのパーツがPS(ポリスチレン)樹脂が使用されるのだ。
カーモデルのウインドウガラス部分のようなクリアパーツは、透明グレードのPS樹脂単体を使用し、着色されたパーツはPS樹脂に顔料(染料)を混合して着色して成型する。
射出(インジェクション)成型機は、金型サイズに合った成型機で金型を150トン~250t程度の力をかけて閉じる。その閉じた金型内に230℃程度で溶解したPS樹脂を圧力をかけ流し込み、金型内冷却することでパーツの付いたランナーが成型されるのだ。
近年では、射出成型機の発展により複数のシリンダーより数種類に着色された樹脂を1枚のランナーに射出する「多色成型」という技術も取り入れられており、主に「ガンプラ」にその手法が使われている。
成型機は基本的に全自動で生産され、1サイクルが40秒~60秒程度で1ランナーが生産される。成型工程では、16~24時間稼働する場合が多いので、1日でも1,000枚以上のランナーが量産されるのだ。
↓プラモデル射出成型機の動画はこちら!
8-2.パーツによくあるバリやヒケ、パーツの「合い」について:
パーツによく「バリ」がついていたり、「ヒケ」が存在している。ある程度射出成型機で調整は可能ではあるが、射出成型において完全には解消出来ない部分でもある。
「バリ」は金型の老朽によりパーツ付近に金型の凹みや傷みが出てくると、その部分に溶けた樹脂が回り込み「バリ」となる。金型の修正やメンテナンスである程度解消されるが、それでも解消されない場合は、金型を新品に更新する必要がある。
「ヒケ」はパーツの内側に厚肉部が存在していると、その部分が表面の凹み(ヒケ)となって現れる現象で、これを解消するのは中々難しい。厚肉部を無くせばヒケは出にくくはなるのだが、パーツの形状や強度を保つために必要な部分でもあるので、どうしても「ヒケ」が気になる場合は、プラモデル製作者がヤスリなどで修正する必要がありそうだ。
パーツ「合い」という言葉をよく耳にすると思うが、これは竹割り構造の2パーツを接着した時に生じる段差や形状誤差のこと。
パーツの「合い」が悪いというのは、要は金型のパーツ精度が悪いのが原因の大きいところ。近年の設計技術や金型加工技術の向上によりかなり良くなってきているので、最新の金型で作られたキットはパーツの「合い」が良い場合が多い。
タミヤ製のスケールモデル(特にバイクモデルのカウルパーツ)では、昔から薄肉成型でパーツの「合い」も素晴らしいので、いかに金型技術や成型技術が高いかがうかがい知れるだろう。
9.品質検査:
成型されたパーツの成型不良や割れ、「ショートショット」などが無いかを品質検査工程で実施する。全自動でセンサー検知で行う検査装置や、人の目視による検査なども行ない、不良品が店頭に並ばないように未然に確認する重要な工程だ。
※「ショートショット」とは、射出成型時に樹脂の充填が不十分であったために発生する、パーツの欠けや欠損のこと。ショートショットが発生したランナーは完全にNGとなる。
キットのパーツ以外にポリキャップやリード線、ネジ、デカール、取説などの同梱パーツに欠損がないかの検査も同時に行ない梱包される。
10.完成(出荷→販売):
ここまでの工程をクリアしたキットがメーカーから出荷され店頭に並ばれるのだ。
プラモデルに限らず店頭に並ぶプラスチック商品は、大体こういった工程で生産されることになる。
↓タミヤ模型のプラモデルができるまでの動画がこちら!
↓バンダイの「ガンプラ」ができるまでの動画がこちら!
キットの販売価格について:
近年のプラモデルキットは、価格が結構高額なキットが多い。
ガンプラのPG(パーフェクトグレード)などは20,000円~30,000円以上するし、MG(マスターグレード)クラスでも5,000円以上のキットが多い。
1/24スケールのカーモデルや1/20スケールのF1マシンでも軒並み定価で5,000円以上するキットが多いのだ。
またスケールの大きいキットや、価格が高額になるキットはパーツ数が多い(ランナー数が多い)ので、ランナーの数に比例して1キットに使用する金型数も多くなり、コストがかかってしまうのだ。
その他にも、日用雑貨とは違い販売数が少ない事、生産コスト(原油価格の高騰、人件費、金型費用、運搬費用)の上昇による影響が大きいので、仕方のない部分でもある。
ただ、パーツ数の多いキットやスケールの大きいキットは作りごたえもあるので、販売価格以上にお得感はあるだろう。
プラモデルができるまでの10の工程を徹底解説してみた!の記事まとめ:
プラモデルができるまでの工程を解説してみたが、いかがだっただろうか?
近年のプラモデルキットの品質の良さには、たくさんの人員と技術が惜しみなく投入されているのがお判り頂けただろう。
これからも続々と新作キットが販売されていくので、今後の展開やますますの技術の向上が楽しみだ。
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